尿失禁(尿もれ)や頻尿は、ご高齢の方だけが悩む病気ではありません。
実は尿失禁に悩む女性は20、30代の若年層から中高年に至るまでかなり多く、40代では3人に1人は経験があると言われています。
これは、女性の場合、尿道が男性に比べて短く、直線的な形状であること、また膀胱や尿道を支える恥骨尿道靭帯や仙骨子宮靭帯などの靭帯や骨盤底筋群が、男性に比べて弱いためと言われています。
これらの病気は命に係わる病気ではありませんが、QOL(=生活の質)を低下させてしまいますので、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
過活動膀胱は、急におしっこが我慢できなくなり、おしっこの回数が多くなる状態のことで命に係わる病気ではありませんが、外出が不安になったり、家事や仕事の妨げになったりQOL(quality of life:生活の質))が著しく損なってしまいます。
原因は、加齢や脳や脊髄の障害など神経因性による場合もありますが、原因が不明のものも少なくありません。
- ● 主な症状
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- 頻尿-トイレが近い。(日中8回以上、夜間1回以上)
- 尿意切迫感-突然尿がしたくなり、我慢することが難しい。
- 切迫性尿失禁-ふいに強い尿意にみまわれるため、我慢できず尿をもらすことがある。
- ● 治療
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抗コリン薬による薬物療法が多く使われます。
また、カフェインなどの利尿作用のある飲み物を控えるなど生活改善や排尿の間隔を長くする膀胱訓練や膀胱を支えている筋肉を強くするために骨盤底筋体操を行うことも効果的です。
咳やくしゃみをした時や重い荷物などを持ち上げた瞬間に腹圧がかかり尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。
出産や加齢により尿道の周りの筋肉が弱くなって尿道の固定が悪くなっているために起こります。特に中高年の女性に多く、8人に1人は悩まされていると言われています。
- ● 治療
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薬物療法より尿道の収縮を強めるお薬を服用します。
また、軽い症状の場合は、運動療法で治る場合もあります。
骨盤の底部で膀胱や子宮を支えている筋肉である骨盤底筋を鍛える運動です。
また、重症の場合は手術により尿道や膀胱をつりあげる方法などがあります。